APO-LANTHAR 50mm F2で撮る富士山と湘南の海

普段はフランスの首都パリでポートレート撮影やウェディング撮影など人物を撮影しているフォトグラファーYuichi AOKIが、前回東京に帰省した際に新宿Map CameraでコシナのVoigtlander APO-LANTHAR 50mm F2 Asphericalを購入し、都内や湘南でスナップ撮影を行ったので、今日はこのレンズで撮影した写真の紹介をしていきたいと思います。

お仕事で人物撮影を行う際は基本的にオートフォーカスレンズで撮影を行っているのですが、このVoigtlander APO-LANTHAR 50mm F2 Asphericalはマニュアルフォーカスレンズなので、手動でフォーカスリングを回しながらピント合わせを行う必要があります。

では何故オートフォーカスもできないレンズを購入したかと言うと、主に下記3点の理由があります。

  1. コシナが謳う”フォクトレンダー史上最高性能の標準レンズ”を経験してみたかった。
  2. 手動でじっくりピントを合わせるマニュアルフォーカスレンズの所作を楽しんでみたかった。
  3. 街撮りスナップ撮影専用に小型軽量な50mmレンズが欲しかった。

1.に関しては、コシナ曰く”光の3原色を構成するRGBの軸上色収差を限りなくゼロに近づけるアポクロマート設計を採用”とのことで、軸上色収差及び倍率色収差を徹底的に抑制されているようです。上の写真は由比ヶ浜辺りをドライブ中に車の中から無限遠でピントを合わせて撮影したのですが、色収差は全く感じず、極めて高い解像感が得られています。

2.に関しては、あくまでお仕事での人物撮影用ではなく、あくまで街撮りスナップ撮影専用として購入したレンズなので、マニュアルフォーカスでも特に問題ないという判断です。その上でオートフォーカスレンズでは決して味わえない、手動でフォーカスリングを回しながらじっくりピントを合わせマニュアルフォーカスレンズの所作を経験してみたかったというのはあります。さすがコシナのヘリコイドだけあって、滑らかでありながら軽すぎない心地よいトルク感があり、使用感は最高です!

3.に関しては、最大径φ62.6、全長61.3mmで364gなのでかなり小型軽量な部類のレンズだと思います。普段仕事で使用しているSony最高峰のGMと比べると半分くらいの重さだったりするので、気軽に街撮りスナップをしたい時に積極的に使いたくなるレンズですね。

渋谷スクランブル交差点でアポクロマート設計のレンズの威力を実感

APO-LANTHAR 50mm F2で撮る渋谷スクランブル交差点

どんより湿っぽい冬のパリとは異なり、冬の東京は乾いた気持ちの良い晴天が続き、滅入った気分が一気に晴れ渡りますね!渋谷スクランブル交差点に行った時はコントラストの高い写真を撮影できて、アポクロマート設計のAPO-LANTHAR 50mm F2の威力を見せつけられた気がします。

目で見た通りの色味を忠実に再現しつつ、歪みの少ない優秀な写りのレンズ

APO-LANTHAR 50mm F2で撮る湯島天神

色鮮やかな湯島天神と雲一つない晴天を目で見た通りに忠実に再現するこの写真を目にした時、お気に入りスナップレンズに確定しました。またコントラストの高いパキッとした仕上がりながら、暗部が潰れることなく表現できており、高いダイナミックレンジも魅力的ですね。

マニュアルフォーカスレンズで人物撮影は訓練が必要だが、写りはパーフェクト

APO-LANTHAR 50mm F2で人物撮影

動きのある人物をマニュアルフォーカスでピントを合わせて撮影するのは正直容易ではないですが、じっくり訓練を積むことで成功率を高めることができるようになります。絞り開放F2で撮影するのが難しすぎる場合、F5.6くらいまで絞って撮影することで割とピント合わせがしやすくなります。私が使用するSony αのミラーレスカメラならフォーカス拡大機能を活用できるので、撮影をバッチリサポートしてくれますよ。

少し引いた位置から絞って撮ればテーブルフォトでも効果を発揮

APO-LANTHAR 50mm F2でテーブルフォト

最短撮影距離は0.45mなので、カフェ等で座ったままテーブルフォトを撮るにはあまり向かないかもですが、立ち上がるスペースのある場所なら少し絞り込むことで素敵な料理写真も撮影できます。

哀愁漂うレトロな雰囲気をしっとり描く描写力

APO-LANTHAR 50mm F2で哀愁漂うレトロな雰囲気をしっとり描く描写力

小金井公園の中にある江戸東京たてもの園で年始の餅つき大会が行われていたので、このAPO-LANTHAR 50mm F2を持って行ってきました。解像度が極めて高いレンズですが、バキバキに固い表現ではなく、しっとりした仕上がりの写真に仕上げてくれるレンズなので、レトロの雰囲気だったり、女性ポートレートでも活躍してくれます。

コーヒー休憩の合間にガラス反射を利用した人物撮影にチャレンジ

コーヒー休憩の合間にガラス反射を利用した人物撮影にチャレンジ

街撮りスナップでは水溜りだったり、ショーウィンドウだったり、反射する光をついつい探している自分がいたりします。Google Mapを眺めていたら実家の近所で流行っている焙煎コーヒー屋を発見し、コーヒー休憩しながら人物撮影にチャレンジしてみました。

特に金属やガラス等の硬い素材を撮ると美しい

特に金属やガラス等の硬い素材を撮ると美しい

このレンズ、女性ポートレートでしっとりした肌を表現するのも得意ですが、実は金属やガラス等の硬い素材の表現もとても得意なんです。相反する表現を高いレベルで叶えてくれるので、様々なシチュエーションで使いたくなってしまいますね。

夕陽が沈む時間帯に東京から撮影するゴールデン富士

夕陽が沈む時間帯に東京から撮影するゴールデン富士

普段パリで暮らしていると山が見えることは一切ないだけに、日本に帰ってくるとどこからでも遠くに山が見えることに感動します。上の写真は東京の郊外から日暮れ時に撮影したゴールデン富士です。

肉眼に近い画角の50mm標準レンズで東京タワーを撮影

肉眼に近い画角の50mm標準レンズで東京タワーを撮影

写真を始めた当初は35mmレンズで背景を大きく入れながら人物撮影するのが好きでしたが、徐々に85〜180mmの中望遠や望遠レンズが好きになっていきました。街中スナップでも35〜180mm辺りの焦点距離をカバーできれば理想なのだと思うのですが、大きいレンズは重すぎて疲弊してしまうので街中スナップを楽しむのは難しいというのも現実。また明るいズームレンズはサイズも巨大になってくるので、見た目もゴツくなってしまい、街中の通行人をスナップ撮影するには不向き。そんな中でAPO-LANTHAR 50mm F2のコンパクトレンズは重宝しますね。

F2の明るいレンズなので、明るい都心の夜景撮影なら楽勝

F2の明るいレンズなので、明るい都心の夜景撮影なら楽勝

ズームレンズは絞りF2.8以上が多いですが、単焦点レンズならもっと明るいレンズが沢山あるので、夜景撮影でも使いやすいですね。特に都心の高層ビル群であれば十分な光量を確保しやすいので、絞りF2まで設定可能なAPO-LANTHAR 50mmなら全く問題ありません。

欠点もゼロではないが、APO-LANTHAR 50mm F2は理想的な街撮りスナップレンズ

敢えて欠点を挙げるなら、①オートフォーカスができない、②焦点距離が50mm固定の2点くらい。
ただこの欠点はもちろん承知の上で購入しているので、後は動き回る人物にピントを合わせられるように訓練を積むのみ!街撮りスナップ用にレンズを探している方たちに自信を持ってオススメできるレンズなので、ぜひ一度触ってみてください。

FE 24-70mm F2.8 GM IIで伊豆スナップフォト

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APO-LANTHAR 50mm F2で撮るパリの日常

NOKTON classic 40mm F1.4を持ってパリから東京へ

FE 24-70mm F2.8 GM IIと歩く白川郷スナップフォト